訴求設計レビュー ── CRの前に解くべき問題

案件: 次世代通販オンライン講座
作成日: 2026-03-31
対象: クリエイティブ制作指示書 v5(社内制作チーム作成)
作成: 株式会社ビズム 広告運用チーム

1現状の問題

CR3 + CR5で配信を開始し3日が経過。以下が現在の数値。

期間インプリーチクリックCTRCPCCPM消化CV
3/2861555550.81%¥802¥6,517¥4,0080
3/2934727361.73%¥882¥15,254¥5,2930
3/3034326461.75%¥999¥17,466¥5,9910
合計1,3051,092171.30%¥900¥11,718¥15,2920
数値が示していること
  • CPMが3日で2.7倍に急騰(¥6,517 → ¥17,466)。Metaのオークション品質スコアが低下している兆候。「この広告はユーザーにとって価値が低い」と判定され始めている
  • 17クリック / 0CV = LP転換率0%。CRをクリックした人がLPで離脱している
  • CPC ¥900は目標CPA ¥3,000に対して厳しい。LPのCVRが33%以上必要だが、現在0%
  • CTR自体は1.3%で壊滅的ではないが、クリックしてもCVしない = CRとLPの間にズレがある

制作指示書v5では新たに11本のCRが提案されているが、CRのコピーやデザインを変える前に、訴求の根本設計に問題がある。

問題の核心: 「何の広告か分からない」

現在配信中のCR(CR3・CR5)も、制作指示書v5の11本も、全てのCRに共通する問題がある。

  • 「物販の仕組み」「構造」「利益が残らない理由」としか言っていない
  • この講座が提案する「自社通販サイトの構築」というモデルがCRに一切出ていない
  • ターゲット(マーケットプレイス物販経験者)がスクロール中に見ても「自分に関係ある広告」と認識できない
  • 結果として、世の中に溢れる副業・物販系の情報商材広告と区別がつかない

この状態では、CRのデザインやコピーのトーンを何パターン変えても成果は出ない。先に訴求の核を定義する必要がある。


2この講座は何を教えているのか(LPからの読み取り)

LPのプレゼント内容・講座カリキュラムを精査した結果、この講座の本質は以下の通り。

講座の提案モデル

Amazon・楽天・メルカリ等のマーケットプレイスを使わずに、
自社の通販サイトを構築・運営して収益を上げる方法を教える講座。

LPから読み取れる具体的な教育内容

要素LPでの記述意味するもの
プレゼント3 通販サイト作成講座 自分でサイトを「作る」。既存サイトの改善ではない
プレゼント4 商品画像作成講座 自社サイト用の商品画像を自分で作る
プレゼント1 販売商品の選び方「3つの条件」 商品はこれから選ぶ段階。既に商品を持っている人向けではない
プレゼント1 無在庫販売の方法 在庫を持たずに自社サイトで販売する仕組み
プレゼント1 高単価商品(50万円〜)の販売方法 Amazonでは成立しにくい価格帯 = 自社サイトだからこそ
ベネフィット 価格競争ゼロ・ライバル不在 マーケットプレイスの価格競争から完全に離脱する構造
ベネフィット 購入率65%・リピート率2倍以上 自社サイトならではの顧客関係構築
講師実績 自社通販サイトで累計2.9億円 講師自身がこのモデルの実践者

3ターゲットは誰か

LPの内容と制作指示書のターゲット定義を重ねると、以下のように整理できる。

ターゲット定義

Amazon・楽天・メルカリ等のマーケットプレイスで物販を経験したが、
価格競争・利益率の低さ・プラットフォーム依存に限界を感じている層。
自社通販サイトはまだ持っていない。

ターゲットの状態

項目内容
経験Amazon・eBay・メルカリ等で物販をやった(orやっている)
痛み価格競争で利益が残らない / 手数料で消耗 / 作業量が多い割に報われない
投資歴物販スクールに30万〜300万円以上投資した経験あり(指示書データ)
年齢層50〜60代が中心(成約者の約70%。指示書データ)
持っていないもの自社通販サイト(だから「作り方」を教える講座が刺さる)
求めているものマーケットプレイスとは別の、もっと利益率の高い販売モデル

除外ターゲット(指示書と同じ)


4訴求の核: CRで伝えるべきメッセージ

ターゲットの状態と講座の提案モデルを結ぶと、訴求の核は以下の1文に集約される。

「マーケットプレイスの物販には構造的な限界がある。自社通販サイトという別のモデルがある。」

この核がCRに入っていないのが現在の最大の問題。

現状のCRに欠けている要素

現在のCR / 指示書v5のCR

「物販で利益が残らない」

「その理由は構造にあります」

「仕組みを解説します」

→ 何の構造?何の仕組み?
→ 100万本ある副業広告と区別がつかない
→ ターゲットが「自分のことだ」と思えない

入れるべき要素

「Amazon/楽天の物販」= ターゲットの現在地

「自社通販サイト」= 講座が教える解決策

「無在庫・高利益率・価格競争なし」= 具体的なメリット

→ 「マーケットプレイスの限界」でターゲットを選別
→ 「自社通販サイト」で何の広告か即座に分かる
→ 初心者は入ってこない(物販経験がないと刺さらない)


5CR訴求軸の再設計案

「マーケットプレイス → 自社通販サイト」のモデル転換を核に据えた場合、テストすべき訴求軸は以下の4つ。それぞれ異なる動機にアプローチしており、どの切り口が刺さるかを検証できる。

軸1: モデル転換(最重要 / 他の軸全ての土台)

刺す動機: 「今のやり方に限界を感じている。別の方法があるなら知りたい」
Amazonで売り続ける以外の選択肢。

自社通販サイトという方法があります。
価格競争なし・在庫リスクなし。
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マーケットプレイスと自社サイト。
利益構造はこれだけ違います。

その違いを構造から解説。
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ポリシー判定: 低リスク ビジネスモデルの説明であり、個人の状態を断定していない。

軸2: 損失回収(指示書CR-Aの方向を活かす)

刺す動機: 「スクール費用30〜300万円を回収したい。投資を無駄にしたくない」
これまでの物販経験、
自社通販サイトなら活かせます。

マーケットプレイスで学んだことは、
自社サイト運営にそのまま使えます。

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ポリシー判定: 低リスク 「活かせます」は可能性の提示であり保証ではない。

軸3: ロールモデル(指示書CR-Gの方向)

刺す動機: 「講師のライフスタイルに憧れる。自分もああなりたい」
10年以上、
自社通販サイトで安定収益を
続けることができました。

石垣島で暮らしながら、場所を選ばずに。
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ポリシー判定: 低リスク 講師本人の体験談。指示書CR-Gとほぼ同一だが「自社通販サイトで」を追加。

軸4: リスク回避(指示書CR-Hの方向)

刺す動機: 「在庫リスクが怖い。初期投資を抑えたい」
在庫を持たない通販サイトの作り方。

初期リスクを抑えた自社サイト運営モデル。
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ポリシー判定: 低リスク ビジネスモデルの説明。


6制作指示書v5の各CRへのフィードバック

指示書v5の11本について、上記の訴求核を反映した場合の判定。

CR指示書のコピー判定コメント
A これまでの投資、無駄にしない方法があります 活用可 損失回収軸。「自社通販サイトなら」を追加すれば訴求核が入る
B 頑張るほど失敗する。 再設計 個人断定でポリシーNG + 何の広告か不明 + 痛みだけで解決策なし。「マーケットプレイスの構造的限界」に転換すべき
C 売れているのに、利益が残らない。 修正要 痛みの指摘としては共感を得やすいが「自社通販サイト」の解が入っていない。後半を「自社サイトなら構造が変わります」等に
D もう限界でした。疲れた方へ 再設計 ポリシー最高リスク + 何の広告か不明。全面書き換え推奨
E 利益が残らない理由。それは"構造"にあります。 修正要 「構造」が何を指すか不明。「マーケットプレイスの手数料構造」等に具体化すれば改善
F 一人では続かなかった。 修正要 伴走・サポート訴求は有効だが、何のサポートかが不明。「自社通販サイトの立ち上げを仕組み+サポートで」等に
G 10年以上、物販で安定収益を続けることができました 活用可 ロールモデル軸。「物販で」→「自社通販サイトで」に変えるだけで訴求核が入る
H 初期リスクを抑えた通販モデルとは? 活用可 リスク回避軸。そのまま使える。「在庫を持たない自社サイト運営」等を補足に入れるとより明確
I 物販ビジネスの収益構造について。 修正要 教育軸として安全だが、現在のCR5とほぼ同一。差別化がない。「マーケットプレイス vs 自社サイトの収益構造」に具体化すべき
J 年金だけでは、不安でした。 修正要 老後不安軸。ターゲット動機としては有効だが、(1)ポリシーリスク中〜高(脆弱な財政状態の暗示)(2)「1日30分」「10年続けられる収入」が保証暗示 (3) 何の講座か不明。「自社通販サイト」の文脈を入れた上で表現を緩和する必要あり
K パワーストーンやオルゴナイトに興味がある方へ。 修正要 スピ選別軸。戦略意図は理解できるが、(1)「収入につながる」がマネーメイキングフラグ (2)スピ x 収入の複合リスク。「好きなジャンルの商品を自社サイトで販売する方法」等に

7推奨: 1st waveの構成

訴求核「マーケットプレイス → 自社通販サイト」を全CRに反映した上で、以下の4軸でテストすることを推奨。

優先度訴求軸ベースCR修正方向
1st モデル転換 新規 or B/Eを全面書き換え 「Amazonで売る以外の選択肢」「マーケットプレイスと自社サイトの利益構造の違い」
1st 損失回収 CR-Aをベースに微修正 「これまでの物販経験、自社通販サイトなら活かせます」
1st ロールモデル CR-Gをベースに微修正 「物販で」→「自社通販サイトで」に変更
1st リスク回避 CR-Hをベースに微修正 「在庫を持たない自社サイト運営」の要素を追加
広告テキスト(メインテキスト)も同時に修正が必要

CRの画像テキストだけでなく、メインテキスト(広告本文)にも「自社通販サイト」「マーケットプレイスとの違い」を入れる必要がある。現在のメインテキストは「物販ビジネスの収益は、運営の仕組みで変わります」等、何の広告か伝わらない内容になっている。


8担当者への確認事項

以下の点が不明なため、案件担当者に確認をお願いしたい。回答によって訴求設計の精度が上がる。

#確認事項なぜ必要か
1 ターゲットは「マーケットプレイス物販の経験者で、自社通販サイトはまだ持っていない層」という理解で合っているか? CRのコピー設計の根幹。もし既に自社サイトを持っている人も対象なら、訴求の方向が変わる
2 取り扱い商材はスピリチュアル系(パワーストーン・オルゴナイト等)が中心か? それとも商材ジャンルは問わないか? CR-Kのスピ選別フィルターの強度設計に影響。スピ商材がメインなら前面に出す価値がある。一例に過ぎないなら選別フィルターとしての機能が弱い
3 指示書にある成約データ(50〜60代70%、スピ親和性ほぼ全員、スクール費用30〜300万円)の出所は? 弓田氏側の提供データか、指示書作成者の推定か? データの信頼度によって、ターゲット設定をどこまで絞るかの判断が変わる
4 LPの構成レベルの修正は可能か?(ポリシー準拠の表現修正ではなく、FVのヘッドラインに「自社通販サイト」を入れる等の方向性変更) CRで「自社通販サイト」と言ってLPに飛んだ時に、LP側にもその文脈がないと離脱する。CRだけの修正では片手落ち

9ポリシーチェック結果(参考)

制作指示書v5の11本のCRコピーについて、Meta広告ポリシー(カテゴリ1: 全17ファイル)と突合した結果を参考として添付。訴求核の修正後も、個別コピーのポリシー準拠は必要。

CRリスク主な問題
Aなし
B「頑張るほど失敗する」= 閲覧者の行動と結果を否定する断定(公式チェックリスト 3-1)
C「利益が残らない」= 閲覧者の利益状態を前提とした表現(間接暗示)
D「もう限界でした」「疲れた方へ」= 精神状態の断定(3-1, 2-2)。全CR中最高リスク
E「利益が残らない」+ 「知らないと続かない」= 出遅れ暗示
F「一人では続かなかった」= 過去の失敗体験を前提とする暗示
Gなし(講師の体験談)
Hなし
Iなし
J中〜高「年金だけでは不安」= 財政状態の暗示 / 「1日30分」「10年続けられる収入」= 保証暗示
K「収入につながる」= マネーメイキングフラグ / スピ x 収入の複合リスク
補足: 訴求核を入れるとポリシーリスクも下がる

「自社通販サイトの構築方法」というビジネスモデルの説明は、個人の状態を断定する表現(「稼げない」「限界」「疲れた」)よりもポリシー上ずっと安全。訴求の核を入れることで、戦略的な改善とポリシー準拠が同時に達成できる。


まとめ

  1. CRの表現やデザインの前に、「この広告は何の広告か」が伝わっていないという根本問題がある
  2. この講座の核は「マーケットプレイス物販 → 自社通販サイト構築」のモデル転換。これがCRに一切出ていない
  3. 「物販の仕組み」「構造」という曖昧な言葉ではなく、「自社通販サイト」「Amazon/楽天を使わない」という具体的なキーワードを入れるべき
  4. これにより、ターゲット選別(物販経験者だけが反応)・ポリシー準拠(モデル説明は安全)・LP整合性(LP内容と一致)が同時に改善する
  5. 担当者への確認事項(5点)の回答を得た上で、具体的なCRコピーと広告テキストを確定させたい